海賊と宝石の歌姫
「やめてください!!放して!!」

逃れようと必死に抵抗するカヤを見て、グレンはとても楽しそうにしていた。

「安心しろ。あの男と同じようにたっぷり可愛がってやるよ」

そう言った後、グレンは「放して!!」と言い続けるカヤの口を布を噛ませて黙らせる。カヤは恐怖から涙をこぼし、抵抗を続けていた。

「あの男のどこがいいんだ?」

グレンはそう言いながら、カヤの胸元で揺れているネックレスに触れる。そして、力任せに強く引っ張った。プチンと音がして、カヤの首からネックレスが奪われる。

「これでお前は力が使えないな」

勝ち誇ったようにグレンは笑い、ネックレスを奪われて声にならない声を出しているカヤを連れて行くように命じた。



セダはずっとぼんやりとしていた。やがて、青い空はオレンジ色になり、セダはカヤは先に帰ったのかと屋敷へと戻る。

「あれ?カヤは?」

部屋に戻ると、剣の手入れをしているライリーが訊ねてきた。しかし、セダは答えることなく座り込む。
< 103 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop