海賊と宝石の歌姫
宝物
セダはグレンに向かって走り、すぐに剣を振り下ろす。それをグレンは受け止め、戦いが始まった。

海賊フェニキスの船員たちと、村人やアイザックたちも戦い始める。剣が交わる音、怒声や相手を罵る声、草木が斬り倒されていく音が響いた。

「カヤは絶対に渡さない!!アイツは俺の大切な人だ!!」

セダがグレンにそう言うと、グレンは冷たく笑う。

「そうは言っても、カヤはこの国から出ることが禁じられているんだろ?お前は海賊なのにどうやってカヤを連れて行くんだ?」

「それは……」

「カヤが村に残ったらどうなる?結婚もできねえ、ガキも作れねえ、いいことなんて何もない。俺たちは海賊。他人からものを奪うのが一番正しいのさ」

捕われ、体を震わせるカヤを見てグレンはニタリと笑う。その欲望に満ちた目にセダは怒りを抑えられない。

「黙れ!!カヤはお前が触れていい女じゃない!!」

セダは剣を構え直し、またグレンとぶつかり合う。何度も剣を振り下ろすが、セダは疲れを見せたりしない。
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