海賊と宝石の歌姫
セダはふと、プロポーズした時のことを思い返す。普通、プロポーズをする時には指輪を渡す。カヤの故郷のハナダでは花をプレゼントするらしい。しかし、セダは「俺と結婚しろ」と言っただけで何もプレゼントできなかった。

カヤが「はい」と言ってくれたことは奇跡だったのか、とセダは思う。カヤは優しい性格のため、指輪がほしいとは言わなかったのかもしれない。

「ライリー、協力してくれ」

セダはあることを決めた。



「よし！！新しい剣を買うわよ〜！！」

「お前、いつもそれを言ってるな」

マーレの港街に着いた刹那に興奮しながら言うライリーにゴドフリーが苦笑する。

「ほら、ちゃんと前を見て歩け」

アイザックが二人に言い、船を降りて行った。他の船員たちもぞろぞろと船を降り、港街を楽しんでいる。

「カヤ、行くぞ」

セダが手を差し出すと、カヤは「はい」と微笑んで握ってくれた。カヤの手はセダよりもずっと小さい。この手を取り、これから守っていくのだ。セダは緊張した。
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