海賊と宝石の歌姫
海賊アレスの船員たちが笑い出す。その様子を海賊マーロンは憎々しげに見つめていた。

海賊アレスが襲われるなど滅多にないのだが、こんなこともある。無駄な殺傷はしないことを徹底しているが、相手が剣を向けるならセダは容赦はしない。

「怪我人は船医の場所へ運ぶ。こっちへ」

アイザックが怪我をした船員を運び、ゴドフリーとライリーもそれに協力する。

「水を用意するよう料理長に言ってくる」

セダはそうアイザックに声をかけ、船内へと向かった。



少女は怯えながら、今日も仕事を終えた。掃除、洗濯、料理、買い物などをし、男からの暴力にも耐えた。

少女は息を大きく吐き、床に座り込む。広い男の屋敷にある狭く古い物置き部屋。埃が積もった様々なものが積み重ねられたこの部屋が、少女に与えられた寝室だ。

ボロボロのみすぼらしい服のまま、少女はボロボロの布団にくるまる。こうして眠ることにも少女は慣れてしまった。
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