海賊と宝石の歌姫
不思議な感情
小柄な少女を横抱きにしたまま、セダは海賊アレスの船に戻った。少女の体にはいくつもの痛々しい傷がある。一刻も早く船医に見せなければならない。

「セダ、その女の子は一体……」

もう本を買い終わったのか、船にはアイザックがいた。セダは早口で「裏路地で倒れていた。ひどい怪我をしている」と言い、船医のベニーとグレースのもとへ少女を連れて行く。

「ベニー！グレース！急患だ！！」

セダがそう言うと、医務室で仲良くキスをしていた二人は慌てて離れる。二人は結婚したばかりの夫婦だ。

「まあ、ひどい怪我！」

グレースが少女の傷を見て驚く。ベニーも「これは……誰かに暴力を振るわれた跡だな」と呟く。

セダは医務室の前で、少女の治療が終わるのを待つ。医務室の扉を見つめるセダを、アイザックは真剣な目を向けていた。

しばらくすると、医務室の扉がゆっくりと開きグレースが笑顔で「終わったわよ〜」と言う。

セダとアイザックは医務室へと入った。医務室のベッドの上で、少女は眠っている。
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