海賊と宝石の歌姫

「ひどい怪我と衰弱だ。栄養をしっかり摂らせて安静にさせないと」

ベニーがそう言った後、少女の傍らに腰掛け「よく頑張ったね」と頭を撫でる。

「セダ、この女の子はどうするんだ？」

アイザックが訊ねる。セダは、「とりあえず、意識が戻ってから話を聞く。なぜ東洋人がこの国にいるのかも気になるしな」と答えた。

ベッドの上で眠り続ける少女は、まるで人形のようだ。セダは自分と同じような黒髪の頭を優しく撫で、部屋を出た。

その夜、船に戻って来たゴドフリーやライリー、そして他の船員たちにセダは少女のことを話した。

少女の様子をセダは何度も見に行ったが、少女は眠り続けたままだ。

「実は、今日裏路地で怪我を負った東洋人の少女を発見した。見つけた時に意識はなく、今も眠っている」

セダがそう言った時、ゴドフリーたちはみんなどこか驚いたような顔をしていた。

「なぜこの国に東洋人がいるのか気になるし、何よりひどい怪我と衰弱だ。しばらくこの船で保護したい」