海賊と宝石の歌姫
医務室の前で少女が倒れていた。どうやら目を覚ましたらしい。

「おい、大丈夫か?」

セダが近寄ると、少女が顔を上げる。その目は黒く、とても整った顔立ちだ。セダの心臓が止まるような感情が走った。

しかし、少女の顔はセダを見た一瞬で恐怖に染まる。小さな体が大げさなほど震え出し、セダは「おい……」と少女の肩に触れた。

「やめて!触らないで!嫌!!」

びくりと少女は震わせたかと思うと、セダの手を振り払い逃げようとする。しかし、体は思うように動かないようで転んでしまう。

「おい、落ち着け!暴れたら傷が開くぞ」

セダはそう言い少女を押さえつけようとするが、少女は暴れ続ける。

「おい……!」

セダが力ずくで少女をベッドに戻そうとした時、「セダ、彼女を放して」とライリーが言った。

「は?」

ライリーは腰に手を当て、セダを見つめる。ゴドフリーも「放してあげて」と言う。

セダが少女を放すと、少女は暴れるのをやめ、体を震わせたままセダたちを見つめる。
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