海賊と宝石の歌姫
怯え続ける少女に、ライリーがにこりと笑いかけた。

「初めまして！あたしの名前は、ライリー・ヴァルガス。確かにあたしたちは海賊。でも、あたしたちは商船を襲ったりはしないの。あなたを傷つけたりはしない」

そう言い、ライリーは少女にゆっくりと近づく。そして、少女を優しく抱きしめた。

「……ッうう……あぁ〜！」

少女は、幼い子どものように激しく泣き始めた。その様子を、セダたちは眺めていた。



ライリーが少女をベッドへ戻し、グレースと一緒に話を聞いた。

少女の名前はカヤ・アイカワ。ハナダ出身だが海賊フェニックスに捕まり、この国の貴族の奴隷として売り飛ばされてしまったらしい。

「フェニックスということは、カヤはあの襲われた村の女の子なのか……」

ライリーから話を聞いたアイザックが呟く。

「よし、カヤをハナダまで送ろう」

セダがそう言うと、ゴドフリーが「了解！そう伝えてくるよ！」とカヤのいる医務室へと向かった。あとしばらくしたら、医務室から普通の部屋に移れるとベニーが言っていた。
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