海賊と宝石の歌姫
「あら、私はお邪魔ね」

グレースはそう言って医務室を出て行った。セダと目が合った刹那、グレースはセダにウインクをする。まるで、「頑張りなさいよ！」と言っているようだ。

セダは、カヤのベッドの近くに置かれた椅子に座る。カヤはびくりと肩を震わせ、セダを見つめた。

「あ〜……。これやる。お前に似合いそうだったからな」

余計なことは言わず、さっさと用を済ませた方がいいとセダは考えた。カヤにラッピングされた袋を渡す。カヤは少し驚いたようにセダと袋を見つめる。

「開けてみろ」

セダがそう言うと、カヤはゆっくりとラッピングのリボンを解き、袋を開ける。そして、「これって……」と呟いた。

「お前、ネックレスは持っていたからな。ブレスレットはなかっただろ？」

セダがそう微笑むと、カヤは左腕にブレスレットをつける。セダが思った通り、よく似合っていた。

「あ、ありがと……」

頰を赤くしながらカヤは言う。セダは「……ん」と頷き、部屋を出た。
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