海賊と宝石の歌姫
医務室の扉を閉めると、セダはズルズルとその場に座り込む。顔が熱い。心臓がドキドキしている。この気持ちが何なのか、セダは知らない。

「セダ、医務室に入れないんだけど」

ライリーとゴドフリーが話しかける。アイザックもいた。

「熱でもあるのか?顔が赤いぞ」

アイザックがそう言い、セダは顔に触れる。「バカ」とゴドフリーがアイザックに言った。

「セダはな、カヤのことがーーー」

「うるさい!黙れ〜!!」

セダは立ち上がり、走り去った。



一方その頃、海の上を一隻の海賊船が走っていた。海賊の中でも恐れられている海賊・フェニックスだ。

「……つまり、あの女が「宝石の都」の場所を知っていると?」

豪華なコートに身を包んだグレンが部下を睨みつける。部下はびくりと肩を震わせた。

グレンに睨まれた者は、誰も動けず言葉を出すこともできない。コツコツ、とグレンは船長室を歩く。

「あの女は売るべきではなかったな。よくよく考えれば、胸は小せえが俺の好みの女だった。おまけに「宝石の都」まで知っていたとなぁ……」
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