海賊と宝石の歌姫

刹那、賑やかだった広間は静まり返る。誰もが食事の手を止め、何事かとセダを見つめた。

ゴドフリーは、「あ、やべ……」と言いたげな表情で、ライリーからは視線で「何やってんのよ」と言われる。アイザックはそっと後ろを振り返っていた。

セダもアイザックのように後ろを振り返る。今日、初めてカヤと目が合った。

カヤは怯えた目をセダに向けていた。今にも泣き出してしまいそうなのを堪えるように、スカートを強く握りしめている。

セダの胸がズキンと痛む。セダは足早に広間を出た。

「……はあッ……。一体何なんだ、この感情は……」

廊下を歩き、船長室に向かいながらセダは呟く。頭に手を当て、目を閉じると鮮明にカヤのさっきの顔が浮かんだ。

何故か、苛立ったのだ。自分には向けたことのなかった笑顔を、船員たちの前で平気で見せた。それがモヤモヤして、イライラしてしまった。

「……後でゴドフリーに謝らないとな……」