海賊と宝石の歌姫
セダの背後からアイザックが声をかける。セダは振り向き、「わかった」と頷く。そしてまた海を見始めた。

「カヤのことを考えているのか?」

アイザックがセダの隣に立ち、セダの横顔を見つめる。セダはゆっくりと目を閉じた。

「……お前やライリーたちがカヤと話しているのを見ると、とても苛立つんだ。俺には笑顔を向けないのに、どこか怯えた様子なのに……。それがどうしようもなく悔しくて、俺だけを見てほしいんだ」

セダがそう言うと、アイザックは「……そうか」と呟く。

穏やかな海の波の音が心地よい。カモメが空高く飛んでいる。

セダは、真剣な表情で何かを考え込むアイザックをじっと見つめた。アイザックならば、自分の抱いているこの感情の正体を知っているかもしれない。

「なあ、アイザック」

セダが話しかけると、アイザックは考え事をやめてセダの方を見つめる。セダは口を開いた。

「お前、頭がいいから俺が抱えている感情が何かわかるだろ?教えてくれ」
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