海賊と宝石の歌姫
恋と棘
セダはカヤの額や頬に唇を当てる。多くの女性は、セダがキスを落とせば体を全てセダに預けていた。しかし、カヤは違う。

怯えた目をカヤはセダに向け、必死に拘束から逃れようとする。セダはカヤの耳元でささやいた。

「カヤ、好きだ。俺はお前に惚れているんだ……」

カヤの目が一瞬大きく見開かれる。しかし、カヤは「船長様、やめてください」と呟いた。

セダはカヤの耳にキスをし、「俺のことを名前で呼べ」と命令する。しかし、カヤはセダの名前を呼ぶことなどなかった。

カヤの笑顔を見たい、カヤを手に入れたい、そんな想いにセダは支配されかけている。何度もキスをし、カヤに「好きだ」とささやく。

カヤは逃げようと抵抗していたが、逃れられないとわかったのか大人しくなった。

「いい子だな」

セダはそう言い、カヤの唇に自分の唇を重ねる。初めてセダは、好きな人とキスをした。幸せと嬉しさでセダの胸はいっぱいになる。
< 42 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop