海賊と宝石の歌姫
「……キスと告白はした。だが最後まではしていない」

セダがそう言うと、「なら何故あの子は泣いていたの!?」とライリーはセダを睨みつける。

「しようとしたら逃げられた」

セダがそう言った刹那、バチンと音が部屋に響く。セダの頰をライリーは思い切り叩いていた。

「この最低のクズ野郎!!二度とカヤに近づくな!!」

そう吐き捨て、ライリーは物置部屋を飛び出していった。

セダはライリーに叩かれた頰に触れる。ジンとした痛みがあった。



ご飯を食べる気も起きず、セダはそのまま部屋に戻った。その後アイザックとゴドフリーがやって来た。

「なんかライリーがめちゃくちゃ怒ってて、急いで戻ってきたんだ。何で怒ってるか心当たりある?」

ゴドフリーに訊かれ、セダは「俺のせいなんだ」と昨晩とさっきの出来事を話す。二人の表情は険しくなり、アイザックは大きなため息をついた。

「それは怒るだろう。ライリーにとって、カヤは大切な妹のような存在なんだ」
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