海賊と宝石の歌姫
セダはそう考えながら食事を続ける。隣からは、ゴドフリーが店主にまたお酒を注文する声と、「飲み過ぎだ」と言うアイザックの声。

「お客さん、さっきから大丈夫かい?」

店主がセダに声をかける。どうやら、ずっと呆然としていたようだ。

「あ、ああ。少し考え事を……」

セダはそう言い、残りのビールを飲み干す。店主はニヤニヤしながら、「恋でもしてるのかい?」と訊ねた。セダはビールを吹き出しそうになる。

「な、何故……」

「俺はいろんな人を見てきたからね。人の気持ちはわかると思うよ。どんな子なんだい?海賊アレスの船長が惚れた子っていうのは……」

セダは少し迷ったが、カヤのことを話してみることにした。

カヤとの出会い、そしてハナダに向かっていること、初めての恋にどうしたらいいのかわからないこと、強引に迫りすぎカヤを傷つけてしまったこと……。

「ハナダ出身の女の子ねぇ〜……」

店主は頭に手を置き、何かを考え込む。そして、「思い出した!」と言った。
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