海賊と宝石の歌姫
ライリーは首を横に振る。その目は誰かに怯えているようだ。

「……お願い、セダ……。カヤを助けて……」

ライリーの目から涙がこぼれる。強気なライリーが泣くなど、滅多にないことだ。セダとアイザックは真剣な表情になる。

「……カヤが……グレン・バーンウェルに……海賊フェニキスに……攫われた……」

ライリーはそう言い、意識を失う。倒れかけるライリーの体をアイザックが支えた。

「グレンの奴……!」

セダは仲間を傷つけられたことと、カヤを連れ去った怒りで体を震わせる。そして、席に戻ると買ったばかりの剣を手にした。

「俺はカヤを助けに行く。アイザックはライリーを頼む」

そう言い、セダは走り出す。ドクドクと心臓の鼓動が伝わってくる。

グレンの居場所は、何となく検討がセダはついていた。何度も戦ったことがあるからだ。

「……カヤ、無事でいろよ」

セダは走るスピードを上げ、自分たちの船とは真逆の港へと向かった。
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