海賊と宝石の歌姫
グレンはセダを蹴り、笑いながら言う。船員たちも笑い出した。

「……ッ！」

セダは痛みで何も言うことができない。グレンはセダの負傷した右腕を思い切り踏みつける。

「……うッ……ぁ！」

セダはグレンに殴られながら、カヤの方を向く。カヤは、船員に船長室へと連れていかれるところだった。その表情さえ、こんな時だというのに美しく感じる。

カヤはゆっくりと目を閉じた。それは、まるで何かを覚悟するかのように。

刹那、カヤの胸にかけられた涙の形のネックレスが青く輝き始めた。セダは驚き、グレンから殴られていることも忘れてそれを見続ける。

やがて、グレンたちもカヤのネックレスの変化に気付き始めた。誰もがカヤを見つめる。

ネックレスの輝きは増し、やがてネックレスから青い光線がいくつも放たれる。船員たちは飛んできた光線を悲鳴を上げながら避けた。

強い風が吹き、船が揺れる。カヤの黒い髪も揺れ、カヤはゆっくりと目を開けた。
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