海賊と宝石の歌姫
「カヤ!無事だったのね!」

包帯を巻かれた手でライリーはカヤを抱きしめる。その表情は明るい笑顔だ。

「……はい。船長様が助けてくださいました」

カヤの声が、だんだんか細くなっていく。そして静かに泣き始めた。ライリーは優しい目をしながらカヤの頭を撫でる。

「ライリー、大丈夫か?」

セダが声をかけると、ライリーは一瞬気まずそうな顔を見せた。しかし、笑って言う。

「カヤを助けてくれて、本当にありがとう!!」

その目には、もうセダに対する怒りはない。セダも笑って「ああ、本当によかった」と言った。

その時、セダの腕をベニーが掴む。

「海賊フェニキスの船長と戦ったんだろ?怪我を負っていない方が奇跡だ」

その言葉にセダは固まる。セダは怪我は負った。しかし、カヤの歌を聴くと治ってしまったのだ。

「いや、いい。どこも怪我はしていない」

セダはそう言い腕を振り解こうとするが、アイザックに止められた。

「お前、前に戦った時に怪我を負わされただろう?」
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