海賊と宝石の歌姫
セダのコートが脱がされ、シャツをベニーがめくる。そしてベニーが驚いた。

「えっ?怪我をしてない!」

「えっ!?」

ライリーとアイザックも驚く。カヤは怯えた目をセダに向けた。

セダの腕はナイフで傷つけられた跡も、銃で撃たれた傷もない。真っ白ないつもの腕があった。

「一体どうして……」

驚くベニーにセダは言った。

「たまたま奴に勝てたんだ」

そうセダが言うと、カヤは安心したような表情を見せる。やはり、歌のことは秘密にしておいてほしいようだ。

セダは、「大丈夫だ、誰にも言わない」という気持ちを込めてカヤに微笑む。カヤは安心したように表情を緩めた。

相手のことを考える……。

胸を高鳴らせながら、セダはゴドフリーの言葉を思い出した。



その夜セダが船長室で本を読んでいると、コンコンコン、とドアが控えめにノックされた。

「誰だ?」

セダが声をかけると、「カヤです」と小さな声が返ってくる。セダは、喜びでいっぱいになりながらドアへと向かう。
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