海賊と宝石の歌姫
「私の力は、歌で病気や怪我を治すことができます。このネックレスをつけていると、さらに強い力を使うことができるのです。フジ族の人は、みんな違う力を持っています」

カヤはネックレスに触れ、話す。セダは口を開いた。

「「宝石の都」の場所は知っているのか？」

カヤはこくりと頷く。しかし、その表情は暗い。

「幼い頃、一度だけ見たことがあります。「宝石の都」に行くには、特別な歌を歌わなければなりません。しかし、私はその歌を忘れてしまったのです。……「宝石の都」は、今でも鮮明に覚えているほど美しい宝石や宝物であふれていました」

申し訳なさそうに言うカヤの頭を、セダは優しく触れる。カヤは一瞬びくりとしたが、体の力をすぐに抜いてくれた。セダは安心してカヤを撫で続ける。

「気にしなくていい。俺は宝には興味はないからな」

そうセダが言うと、カヤは安心したように微笑んだ。初めて、セダに笑いかけてくれた。セダは頰を赤く染める。

「……私の村は、海賊フェニキスに襲われました。彼らは私たちが不思議な力を持っているとは気付きませんでしたが……。村がどうなっているか心配です」
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