海賊と宝石の歌姫
デート
もうすぐで船はハナダに到着する。それをライリーから聞いた時、カヤの表情は嬉しそうな顔になった。

セダは嬉しそうなカヤを見るたびに、胸に切ない痛みを覚えるようになっていた。それは、カヤとの別れが迫っているからだろう。

船員の中には、船を降りてしまった者も何人か過去に存在する。その時は多少の痛みはあったものの、すぐに前を向くことができた。出会いがあれば別れがあるのは当たり前だ。

しかしカヤとの別れを想像すると、セダは苦しくなってしまう。それはカヤにセダが恋をしているからだろう。

セダが別れたくないと願っても、海の上を走る船を止めることなど誰にもできない。港街も東洋の景色を見せ始め、セダにカヤとの別れが迫っていることを告げる。

「……一体、この気持ちはどうすればいいんだ……」

セダはアイザックとゴドフリー、そしてカヤと船長室で酒を飲みながら呟く。

テーブルの上に普段置いてある本などは退かされ、ワインやビール、そしておつまみのクラッカーやチーズなどが並べられている。
< 68 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop