海賊と宝石の歌姫
「船にいれば空や海を眺めることが多い。自然と覚えた」

「素敵だと思います。私は星座などはあまりよくわかりませんので……」

セダは自然とカヤの腰に腕を回していた。そして、自分の方へカヤを引き寄せる。体が触れ合い、カヤは顔を赤くする。セダも頰を赤くしていた。

こうして一緒にいられる時間もあと少しなのだとセダは信じたくなかった。ずっと触れていたい、強くそう願う。

「……カヤ」

セダはカヤの頰にキスを落とす。カヤは上目遣いでセダを見上げた。セダはそのおでこやまぶた、そして唇にキスを落とす。

海賊アレスの船はもうすぐリエンの港街につく。リエンからハナダまでは一週間もかからない。セダは緊張する胸を押さえ、カヤに声をかけた。

「カヤ、リエンの港街で俺とデートしろ」

「えっ……」

「船長命令だ。デートしろ」

「……はい」

そう言ったカヤの顔は、優しい笑顔だった。セダはカヤを抱きしめ、夜空を見上げ続けた。
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