海賊と宝石の歌姫

船員たちはそう言うと、それぞれの仕事へと走って行った。



「おい、全然きれいになってねぇじゃねぇか！」

バチン、と大きな音が地下に響く。宝飾品を付け、丸々と太った大柄な男が少女を殴ったのだ。少女は泣きながら殴られた頰を押さえる。

少女は海賊フェニックスに捕らえられた後、聞いたこともないこの国に連れて来られ、この貴族の奴隷にされた。

着物は剥ぎ取られ、ボロボロのみすぼらしい服を着せられて朝から晩まで働かされる。この貴族は自分が苛立つたびに、少女を殴ったり蹴ったりするのだ。

その日も少女は地下室の掃除を言われ、黙々と掃除をしていた。知り合いが誰もいないこの国。少女に「逃げる」という選択肢はなかった。ただ働き続け、暴力に耐え続ける毎日。

「この役立たずが！見た目がきれいなだけで使い物にならねぇんだな！！」

「や、やめてください。お願いです……。許してください！」

少女を男は殴った後、鞭を手にする。少女の目が恐怖で染まった。男は舌なめずりをして少女に鞭を振り下ろす。