海賊と宝石の歌姫


遥か遠き我が都
青く憂うは朧月
あなたと巡り合えた波の狭間
私の心に溶けていく


甲板でカヤが歌っていた。カヤの胸元ではネックレスが輝き、海には青白い光で不思議な絵が描かれていく。

漆黒の海には、青白い光のマンタやイルカなどの動物が泳いでいる。セダはその美しさに足を止め、カヤに見つからないように見つめ続けていた。


始まりはあの春の日
二人で見つめた桜の花
季節巡り 君の背中
ただ眺めて時は過ぎ去りし


歌い続けるカヤを見て、セダは慌てて甲板から離れる。青白い光のクジラが潮を噴いていた。その光景があまりにも儚く、セダはこのままカヤを閉じ込めてしまえたらと思う。

カヤはこうしていつも歌っていたのだろうか。その歌を何度でも聴きたかった。

セダはそう後悔した。



「カヤ!ハナダがあそこに見えるよ!」

デートから四日後、ライリーが掃除をしているカヤの腕を掴む。カヤの顔は一瞬にして嬉しそうになる。
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