海賊と宝石の歌姫
何だろうとセダはカヤを見つめる。カヤは、男性と同じように唇を震わせ、涙を流し始めた。そして、男性に駆け寄り抱きしめる。

「兄上様!」

「カヤ!」

抱きしめ合う二人を見て、セダたちは「えっ?兄妹!?」と驚いた。



「大変、失礼いたしました。私の名はキク・アイカワと申します。カヤの兄でこの村の村長をしております」

カヤに連れられ、セダたちはカヤとキクが住んでいる屋敷に案内された。そこでキクは自己紹介をし、セダたちにお礼を言う。

「海賊フェニキスに襲われ、両親は亡くなりました。妹まで行方がずっとわからず、一人になってしまったと思っていたのです。……妹を助けていただき、誠にありがとうございます」

キクが深々と頭を下げ、セダたちは「いえ」と首を横に振る。

初めての畳に、セダはくすぐったさを感じた。ハナダはあまり立ち寄ったことがないためか、見たことのないものが多い。

「失礼します」

カヤの声が襖の向こうから聞こえる。襖が開いた刹那、セダは言葉を失った。
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