海賊と宝石の歌姫
「カヤ、とっても綺麗!」

ライリーが立ち上がり、カヤに駆け寄る。カヤは「ありがとうございます」と微笑んだ。ゴドフリーとアイザックは興味深そうに見つめている。

カヤは、赤い生地に花柄の華やかな着物を着ていた。髪にも豪華な髪飾りをつけている。

「セダさん?」

じっとカヤを見つめていたセダに、カヤが不思議そうに首を傾ける。セダは慌てて目をそらし、「……綺麗だな」と呟いた。とても綺麗だが、ワンピース姿ではないカヤを見ていると、もう自分の隣にはいてくれないのだとわかる。それがとても痛いのだ。

「カヤを助けていただいたお礼をさせてください」

キクがそう言い、セダたちは断ったのだが、キクは何度も言ったため、言葉に甘えることになった。

日が暮れるまでカヤに村を案内してもらい、村の甘味処でハナダのお菓子を食べたり、村の人たちの仕事を見学したり、民族衣装の着物を着てみたりと楽しい時間を過ごした。
< 89 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop