海賊と宝石の歌姫
「きゃあぁぁぁぁ！！」

少女は痛みに悲鳴を上げる。男は何度も少女に鞭を振り下ろした。その度に地下室に悲鳴が響く。

しばらく男は鞭で少女を痛めつけた後、満足したのか地下室から出て行った。

少女は床に倒れ込み、痛みで体を動かせない。震える指で少女は首にかけたネックレスを取り出す。海賊フェニックスからも、あの男からも奪われることを防いだ涙の形をした瑠璃色のネックレス。

「……兄上様……」

少女はネックレスを握りしめながら呟く。閉じられた目から、涙が一筋こぼれた。



セダたちはハナダに向けて船を進めていた。今いる場所からハナダまではかなり距離がある。

ハナダに向けて船を進め始めてから、四日。商船を見かけただけで、今のところ何も問題は起きていない。

「ほんとに俺たち海賊アレスが誕生してから、海って平和になったよな〜」

船長室でライリーとチェスをしながらゴドフリーが言う。

「お前ら何をしにここにいるんだ」
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