海賊と宝石の歌姫
アイザックたちは、料理を次々口に入れて笑う。セダも前菜に口をつけた。とてもおいしい。食材の味がしっかり活かされている。

「セダさん、こちらの卵もおいしいのでよかったら召し上がってください」

カヤがそう言い微笑む。セダは「ああ、いただこう」と言った。

料理を食べてしばらくすると、村の娘たちが屋敷に集まり、楽器を演奏して踊りを披露し始める。

「みんなで踊りましょう」

カヤが提案し、「楽しそうだ」とアイザックたちは見よう見まねで踊り始めた。セダは黙ってお酒に口をつける。

遅くとも、数日後にはハナダから出航しなければならない。そう思うと、この賑やかで楽しい空気も虚しく思えた。

「セダさんも一緒に踊ってください」

カヤが微笑み、自分からセダの手を掴む。なぜ今さらとセダは悲しくなった。別れが来るのなら、触れてほしくなどなかったのだ。温もりが恋しくなって、別れがますます悲しくなるのだから……。
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