海賊と宝石の歌姫
互いの想い
結局セダは眠ることができず、寝不足のままパジャマから服に着替えて朝ご飯を食べに向かう。

「セダ、顔に隈ができてるぞ」

アイザックがそう言うと、「大丈夫?」とライリーも心配そうにセダの顔を覗き込んだ。

「大丈夫だ。それより、カヤはどこにいる?」

「カヤならキクさんと一緒に朝ご飯を作ってるよ」

ゴドフリーが答え、セダは昨日のことを思い出す。キクは恐らく意思を変えるつもりはない。キクを説得しても、カヤにずっと触れてはいられないのだ。

「お待たせいたしました。朝ご飯です」

カヤとキクがおいしそうな朝ご飯を手に部屋に入って来る。野菜中心の栄養満点の朝ご飯だ。

「セダさん、どうぞ」

カヤがニコリと微笑み、お茶をセダに渡す。今日の衣装は紫のレトロな雰囲気の着物だ。ハナダの衣装を着ているカヤは、いつも以上に美しく見える。

「ありがとう」

セダは微笑み、お茶を受け取る。切なさは胸の奥にグッと堪えた。その様子をキクが静かに見つめていた。
< 95 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop