海賊と宝石の歌姫
「セダさん、一緒に出かけませんか?」
朝ご飯を食べ終えた後、セダは急にカヤから言われた。こんなことを言われるのは初めてで、「は!?」とセダは驚いてしまう。
「……ダメでしょうか?」
じっと見つめられ、セダは顔をそらす。もうすぐお別れが来るというのに、胸の高鳴りは抑えられない。
「いや、大丈夫だ」
「よかったです。色々、ご案内しますね」
カヤはそう微笑み、支度をするためか部屋を出て行く。
顔を赤くするセダに、「……しっかりな」とアイザックが背後から声をかけてきた。セダはゆっくりと振り向く。
「どういうことだ?」
「カヤを困らせるなよ」
心配げなアイザックに、セダは切なげに笑う。
「大丈夫だ。最後に、カヤの気持ちを確かめるだけだ」
カヤの支度を待って一緒に出かける。もしかしたら、これが二人きりで過ごす最後かもしれない。
そう思うと、セダの中で想いは強くなっていった。