BLACK REFLECTION -月の警告-
ネオン街に魅せられて
*
夜の街は憧れだった。
キラキラ、キラキラとネオンが目に飛び込んでくる街は、実際に来てみると想像以上に眩しかった。
「お嬢ちゃん、今からおじちゃんと“イイコト”しない?」
「ごめんなさい。人と待ち合わせしてるので」
小柄な私はきっと、中学生くらいに見えているのだろうか。
自分の娘ほどの年齢の子供にあんな風に声をかけるなんて、きっとどうにかしてる。
夜の街が危ないってことは、百も承知だった。ちゃんとわかっていた。
一年前にここを通りがかったときは、暗いというだけで身の危険を感じられるくらい、まともな感覚を持ちあわせていて。
その頃ちょうど、不良モノの漫画が流行っていたけど、“夜の街には行かない”と、決意したはずなのに。
どうやら私は意志が弱いらしい。22時のネオン街なんて、立派な“夜の街”じゃないか。
そんなことを考えながら、私はお気に入りのブーツのかかとを鳴らす。
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