BLACK REFLECTION -月の警告-
「────あれ?」
どれほどそこに立ち尽くしていたのかはわからない。
けれど、夕陽が窓から射して、白いリノリウムをオレンジ色に染めていたから、かなり時間がが経っていることは明白だった。
その声がなければ、私は消えていたかもしれない。
どこか聞き覚えのあるその声が気になって、振り向く。
────振り向こうと、した。
「……あんた、もしかして────ウワッ!?」
すこし、頭がクラッとして。
なにか言われているのには気付いたけれど、視界が妙にふわふわして。
最後に確認できたのは、長い脚と紫色の髪の毛の男子が、慌てたような姿だった。
─────そしてそのまま、私は意識を手放した。