BLACK REFLECTION -月の警告-
……しつこい。
だいたい、待ち合わせ相手にどんな人を想像しているんだろう。奴らの頭の中にはとんでもない美人がいるのだろうか。
「楽しめません。遅れるので離れてもらっていいですか」
「んだとこのアマ……っ!」
あ、セリフ選びミスった。目の前の男の一人が顔を真っ赤にして怒ってる。そんなにキレやすいんじゃ、ナンパなんて成功しないよ、おにーさん。
そんなことを考えられてるうちは、まだよくて。
取り囲まれた私は、あっという間に拘束されてしまった。
気持ち悪い。
気持ち悪い。
気持ち悪い。
「……離してもらえますか」
「誰が離すか女。こうなったら意地でもどうにかしてやる」
……まずい。これで警察沙汰になったりしたら困る。
それに私、こんな奴らには何もされたくない。
やっぱり夜の街が危ないということは、痛いくらいにわかったけど。
夜の街でも比較的人通りが多いこの辺りを通りがかる人たちに視線で助けを求めても、みんな見て見ぬフリ。
当然といえば当然だ。誰だって面倒事には巻き込まれたくないだろうから。