BLACK REFLECTION -月の警告-
害があったりするわけでもないし、私のような一般市民には、もはや都市伝説のような存在になっているけど。
「──目障りだ、消えろ」
唸るような低い声に怯えた男たちが足早に逃げていったけど、私はそこから動けなくて。
取り残されたのは、私とイズミさんだけ。
彼は無機質な目で私を見下ろしながら言った。
「怯えるくらいなら、こんなとこに来てんじゃねえよ、ガキが」
そう吐き捨てて踵を返した彼に、私は思わず声をかけた。
「ガキじゃないし、怯えてはない!」
そう叫ぶと彼は驚いたように振り向いて、その綺麗な顔を歪めた。
「うるせえ……」
「助けてくれてありがとうございました。ありがとうございましただけど私はガキじゃないです。訂正してください」
「は?どーみてもガキだろ、チュウガクセイは」
「チュウガクセイチガウ、高校生」
やっぱり中学生に見られてたのか。もう慣れたし別にいいんだけど。……いいんだけど!