愛染堂市
 
『何だよ?・・・物乞いか?』


英語が伝わるとは思っていないが、俺は嫌悪感剥き出しの表情で威圧的にガキに言い放つ。

しかしガキは何の反応を示さずに、ただ俺の目を覗き込んでいた。


『ったく面倒だな、コレか?コレが飲みてぇのか?!』


ガキは相変わらず俺の言葉に反応しない。

それどころか、俺の態度とは裏腹に、ガキの目の奥には喜びに似たような輝きすら見える。


『わかったよ!!ホラッ!!・・・それ持って消えな』


俺は煩わしくなり、コーラをガキに押し付け、突き離すように少し強めに肩を押す。

ガキは少しヨロけて倒れそうになったが、椅子で体を支え留まる。

そしてまた俺の目を見つめ、よく聞き取れない言葉で何か言った。


『・・・何?』


「ニホジン・・・キョーコ!ニホンジン!!」


『・・ハア?』



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