愛染堂市
 
『――ちょっとアドルを捜してくるから。アズル、みんなの事お願いね。一番オネエチャンなんだから』


 八歳だけど一番しっかりしているアズルに言って聞かせる。

アズルは嬉しそうに真っ白な歯を見せながら頷く。

通りは革命軍の憲兵達が日本製の四駆に乗って、槍をモチーフにした旗をなびかせながら幅を効かせている。

革命軍が子供にまで手を出すとは考えにくいけど、アズルやアドル達とそんなに年の変わらない子達ですら銃を持たされている軍隊なので安心は出来ない。


アズル達を路地裏の比較的目に付きにくい日陰に陣取らせて、アタシは通りに出る。

通りの様子が何となく慌ただしい。

――嫌な感じがする。

アドルを捜して早く教会に戻らないと、否むしろ街から出ないと子供達を危険な目に会わせる事になりそうな感じがする。

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