愛染堂市
奴の降りた反対側の後部座席からもう一人日本人らしき男が降りてきた。
ラフな格好をしているアメリカ人に比べキッチリとしたスーツを着たその男は、コチラの気配を感じたかのように一度コチラに目を向け、すぐさまアメリカ人に何かを言って目的の雑居ビルの方を指差していた。
『・・・奴は?』
「さあ・・・ここからじゃ少し分かりませんが・・・おそらく団体の奴じゃないでしょうか?」
『・・・どっちにしても堅気さんじゃなさそうだな』
俺はホルダーの中のニューナンブをゆっくりと取り出し、リボルバーの中の弾丸を確認する。
「確保しても・・・すぐに引渡しですか」
小池も俺と同様に自分の銃を確認しながら、聞き分けの悪いガキみたいに独り言を呟く。
『コイケェ~!!』
「・・・すいません」
『あんまり、青臭い事ばっかり言うなよ』
「・・・はい、すいません」
『――ったく、俺まで気になっちまって来たじゃねえか!』
「・・・な・中島さん」
『まぁ・・・引き渡す前に幾つか聞ける事もあるだろう・・・なあ小池?』
「ハイッ!!」
青臭い小池の所為とは言え、馬鹿馬鹿しく思ってしまう程に青ッ臭い部分を出しちまう自分にホトホト嫌気がさす。
『・・・準備出来たか小池?』
「いつでも行けます!!中島さん!!」