愛染堂市
『なぁ若いの、お前名前なんつったっけ?』
「ハァッ?!ナメてんのか?・・・岸本だ!!キ・シ・モ・トォ!!寝ぼけてんじゃねぇぞ!!」
『なぁ岸本・・・』
「なっ!?」
俺は岸本の頭にグラスを叩きつけ、不意を食らった岸本の頭をテーブルの上に叩きつける。
そしてテーブルの上から、こぼれ落ちそうになる奴の頭を掴み上げ、目の前に割れたグラスの先を突き付ける。
『岸本、誰のシノギだろうと関係ねえ。俺の目の黒い内は俺のシマで好き勝手はさせねぇぞ!!』
岸本は鼻を潰し、鼻血をダラダラと流しながら涙目で頷く。
『解ったら、さっさとテメェの所に帰って美山に伝えろ。ココの借金は俺んとこで肩代わりして義理は通してやる。だから俺のシマでシノギはするんじゃねえってな』
岸本は更に涙目で、壊れた人形みたいに首をカクカクと何度も縦に振る。
俺はそんな岸本の襟を持ち、出入り口の方へ追いやり、カウンターの上の紙封筒をヘタレ込んでる奴に叩き付ける。
『治療費だ!!さっさと病院へ行け』