愛染堂市
 
『・・・五千万?!』


「はっはい!!」


思わず大声を上げちまい、オヤジがビクつく。


『オヤジ・・・何で美山の所からそんなに借りやがった?』


「私じゃ無いんです・・・その・・息子が」


オヤジは申し訳なさげに声を震わせ、立ち尽くした。

俺も一瞬頭が真っ白になり、その場で口を開けて放心したい気分だったが平静を装い、ジャケットの内ポケットから携帯を取り出した。


『・・まぁ仕方ねえや、オヤジ取り敢えずラーメンと餃子早くしてくれ』


「へ・へい」


俺はオヤジを促し、調理場の方へ追いやり、携帯の着信履歴から組の番号を探し電話する。


「――はい」


電話先の声で電話に出たのは若頭のヤナギだと判った。

俺は電話に出たのがヤナギだった事に安心したが、同時にとても憂鬱になった。


『お~俺だヤマモトだ』


「あっオジキ。どうしたんで」
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