愛染堂市
 
『なぁヤナギ・・・今金庫にいくらぐらい有る?』


「なんです突然?」


電話の向こう側でヤナギが怪訝な表情をしているのが手に取るように解る程、ヤナギの声のトーンが変わった。


『いや・・いくらかと思ってな』


「上納金も含めて、十本程ですが・・・オジキ、なんです?」


『そうか分かった。・・なぁヤナギ、ラーメンは好きか?』


「・・え・ええ、ラーメンは大好きですが」


『そうか良かった。・・なら暫くはラーメンでも平気だな』


「ハァッ?!なんですソレ?・・・オジキいったい何を――」

これ以上は追求が厳しくなりそうなので、俺はヤナギの言葉を遠ざけるように携帯を耳から離し通話を切る。

通話を切った携帯がすぐに鳴る。

表示部に「事務所」と表示されているので、俺は携帯の電源を切る。

――さて、どうしたもんか

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