愛染堂市
 
飛び出すとスーツの男と運転手は小池の方を向いていて、アメリカ人だけがコチラ側を向いていた。

アメリカ人は鼻先の銃口を寄り目で眺めながら、明らかに怯えていた。

スーツの男と運転手はコチラ側に振り向く気配を見せない。

 僅かにスーツの男の首が動く、それを確認する様に運転手の首が呼応するように動いた。


『コイケーッ!!気を付けろー!!』


俺が叫ぶと同時に運転手は腰元に手を運ぶ。

運転手は「パシュリパシュリ」と二発、サイレンサー付きの銃で小池の方へ放った。

そして俺が運転手に銃口を向け撃ち込もうとした瞬間、今度はスーツの男がアメリカ人の頭を掴み乱暴に除けて、俺の鼻先に銃口を向ける。


『―――くっ!!』


俺は倒れそうな位に激しく身を屈め、頭を掴まれてヨロケるアメリカ人を後方に蹴り飛ばす。

アメリカ人は体勢を立て直せないまま、後方へスーツの男を巻き込みながら倒れる。

奴らが遮ってた視界が開け、すぐさま俺は運転手目掛けて銃弾を放つ。

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