愛染堂市
 
 中島は「しくじった」と言った感じの悔しそうな表情を浮かべて、カッターナイフの突き立てられた膝に目をやる。

そして俺は間髪入れずに中島の悔しそうな表情に膝から抜いたカッターナイフを斬り付ける。

中島は案の定、即座に反応して右手で防ごうとする。



『ブッブー!! 今回もそっちは不正解です』



 俺は頭部への斬りつけを防ごうと挙げた、右手の二の腕の内側にカッターナイフを突きつけた。

 そしてカッターナイフを刺したまま中島を後ろに蹴り飛ばす。


 中島は左手で右のわきの下を押えながら体を起こし、コチラを睨み付ける。

カッターナイフは倒れた時に折れて刃先だけが痛々しく中島の二の腕に突き刺さっていた。


『そうそう・・・そうやって押えてないと、大量出血しちゃうからね』


「このヤロウ・・・」


『中島さん携帯貸しな、・・・救急車呼んでやるよ』


 そう言って俺は抵抗出来ない中島のポケットから携帯を探し取り出す。

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