愛染堂市
 
『キャッ!!』


今度はアタシの足元に目掛けてバラバラと銃を撃ってくる。

アタシはこれ以上の抵抗を許されず、両手を挙げて、ゲリラに『撃たないで!!』と叫ぶ。

ゲリラは一旦銃撃を止め、顔を見合わせた後、銃を抱えたまま此方に歩み寄ってくる。


『お願い撃たないで!!ただアタシは、教会に戻りたいだけなの!!』


得意じゃないけど、通じるかも知れない英語で必死に懇願する。

ゲリラ二人は私の目の前まで来ると、再度顔を見合わせた後、無表情に銃の柄で勢い良くアタシのこめかみを殴る。


『ぃっつっ!!』


アタシはそのまま地面に叩きつけられ、乾いた土を食わされる。

ジャリジャリとした口内から、土を吐き出し顔を上げると、ゲリラの一人が銃口をアタシのオデコに突き付けて、無表情のまま何かを告げる。

「マスム族の何とか」と言っていたけど、訛りの強い現地の言葉で上手く聞き取れない。

ただ確実なのは、彼がアタシの額を撃ち抜くつもりでいる事が、彼の目から見て取れた。

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