愛染堂市
『――もしもし救急で、――えぇ場所は不動通りの、――はい、――男が二人倒れてます。・・・うん、すぐ来て』
俺は電話を切って、地面に叩きつけ更に踏みつけ破壊する。
『混んでなけりゃ10分もしないうちに来るから、俺は逃げちゃうけど泣かないで救急車待っててね』
「・・・ふざけるな!!・・・すぐに応援を呼ぶぞ」
『だろうね・・・俺も10分じゃちょっとキツイなぁ』
正直な所、救急車が到着して中島にすぐに緊急手配をされたら逃げ切る自信は俺にも無い。
『・・・保険が欲しいなぁ』
通りの向こうを眺めると、さっきゲロを踏んでいたホステスが立ち止まったままコチラを眺め固まっていた。
『ちょうどいいや・・・中島さん救急車来ても意識失ったフリして、手配を掛けるの30分程待っててよ』
「・・・どこまでも舐めた野郎だな・・・絶対にぶっ殺してやる」
『頼むよ中島さん・・・取り合えず通りの向こうの女見えるかな?警察無線は傍受してるから、手配掛けると彼女死んじゃう事になっちゃうからさぁ』
「・・・くっ」
俺は車に戻りエンジンを掛けて、シートの下の拳銃を取り出す。そして通りの向こうの女に歩みを進める。