愛染堂市
 
 トラックまで走り寄り、銃弾で風穴の幾つか空いている荷台の大きな幌部分を開け、中に入る。


『・・ふぅ~』


中には期待通り、ぎっしりと木箱やスチール製の重厚なケースが積まれており、俺を心底安堵させる。


『・・・うわっ!!アブねえっ!!』


木箱を物色していると、「apple」と手書きで書かれた木箱には手榴弾が梱包材と共に詰められていて、幸いに爆発しなかったらしいが、その木箱も何発か被弾していた。


『・・アイツら考え無しだな』


 俺は取り敢えず、手榴弾を何個かと自動小銃を二本取り出し、荷台から外に飛び出る。

 荷台から地面に着地し、膝の屈伸で柔らかな赤土の衝撃を更に柔らかく吸収し、スッと姿勢を直した瞬間に、右側に気配を感じ、俺はその気配の先に自動小銃を向ける。


『――ん?・・・何やってんだ?アンタ?』


銃口の先には、さっきの変な日本人の女が地面にペタリと座り込んでいた。


『そんなトコに座ってる場合じゃねえだろ。早く逃げねえと死んじまうぞ』


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