愛染堂市
 
 影はその場で立ち止まる。

俺は銃口を影に向けたまま、ゆっくりと歩み寄る。


『・・・ようし、動くなよ!!そのままジッとしていろ!!』


スーツの男より、アメリカ人を見付けるのが容易だろうとは思っていたが、影の正体は案の定アメリカ人だった。

アメリカ人は手を挙げながら真っ直ぐと俺の方を見、震え怯える。


『アメリカ人、お前に聞きたい事がある。無駄な事はするな、俺と一緒に来てもらう』


アメリカ人は理解してるのか、していないのか、壊れた人形みたいにただ首をカクカクと動かす。

 アメリカ人に詰め寄り、片手にニューナンブを持ち替え、奴の体を調べようとした時、アメリカ人の後方に動く影を見付け、横に飛び跳ねるように体をズラす。


『くっそ!!』


スーツの男だ。

奴はすぐさま俺に向かって発砲する。

俺はそのまま横に転がり、奴の銃弾を避け、近くの石灯籠の影に身を隠す。

奴はアメリカ人に走り寄り、また強引にアメリカ人の襟首を掴み、引きずるようにアメリカ人を連れて行こうとした。

奴がアメリカ人に手間を焼いている隙をつき、俺はすかさず奴の足元目掛けて銃弾を撃ち込む。

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