愛染堂市
 
銃弾は足の甲の辺りに着弾し、奴は一瞬ガクっと姿勢を崩すが、痛みを感じないかのように冷静に此方に向けて撃ち返してきた。


『――だっくそっ!!何なんだヤツァ!!』


俺はまた間抜けに石灯籠の影に追いやられる。


―――少しばかり汚ねえが・・・

俺は僅かに石灯籠の影から顔を出し、奴の銃口が此方を捉えていない事を確認すると、ニューナンブの銃口の先を奴らのもみ合っている足元に向ける。


―――悪く思わないでくれよ

俺は狙いを定めると、躊躇する事なくアメリカ人の膝を撃ち抜いた。

アメリカ人は境内に響き渡る悲鳴を上げ、スーツの男は俺の期待通りに、少しおののき慌てた様子を見せる。

そして間髪入れず、スーツの男の右腕に銃弾をぶち込む。

銃弾は狙った場所から僅かにズレ、奴の右肩の辺りに着弾したが、奴は反動で後方に仰け反るように倒れ、銃をその手から落とす。

俺は石灯籠の影から飛び出すように走り寄り、奴の落とした銃を遥か後方へ蹴り飛ばす。

< 155 / 229 >

この作品をシェア

pagetop