愛染堂市
 
「アンタって、つくづく嫌味なオトコね?」


『皮肉屋って言ってくれよ』


「そんな事より、道のアッチから撃ってくるの何とかなんないの?運転席に入れないんだけど」


『・・どれ』


俺は溜め息を吐きながらその場にしゃがみ込み、トラックの下から道の向こう側を覗き込む。
道の向こうからトラックに歩み寄る二組の脚が見え、俺はその二組の脚を、地面に腹を着け少し窮屈な姿勢で撃ち抜く。

二組の脚は、激しい叫び声を上げながらその場に倒れ、俺は姿勢を変えないまま、倒れたゲリラ二人の頭と体に銃弾をぶち込む。

そして素早く立ち上がり、無様な格好で挟まったバカオンナに顎で合図した。

オンナは相変わらず礼の一言を言わないまま、そそくさとトラックとバンの間を登り始めた。


『ふんっ!どうもくらい言えよ!』


俺はオンナがトラックの割れたフロントガラスに上半身を入れ、そのケツが収まったのを確認すると、状態を整えたであろうゲリラ共の相手をする為に、再度トラック後方へ向かう事にした。


「ネエッ!!」


俺がトラック後方に体を向けるやいなや、トラックの中からオンナの声が響いた。


「この人、生きてるっ!!」

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