愛染堂市
 
 トラックの尻尾と化した俺は、その無防備な背中を血眼のゲリラ共に晒す。

トラックのゲートに両手を塞がれて、為す術も無く振り回されてる俺は、素人の練習としては格好の的だ。

 素人ゲリラ共の射撃の腕が、俺の予想を上回る程に下手くそである事を望んだ矢先、俺の目の前のゲート越しに、ライターと煙草を盗んだガキが佇んだ。

しかも自分の身の丈とさして変わりないカラシニコフを抱えて。


『お・・オイオイ、ガキ?そいつは玩具じゃねえんだぞ!!アブねえモン棄てて奥に隠れてろ!!』


ガキは俺の言ってる言葉を理解している様子は無く、白い歯を出してニッコリと微笑み、何の合図か知らないが俺に向かって頷いたかと思うと、一丁前にカラシニコフを構えやがった。


『・・・オイオイマジかよ?』


俺は自分の目を疑いたくなる現実を目の当たりにする。

ガキは構えた次の瞬間、セーフティーを確認しレバーを引き上げると、素人ゲリラ共目掛けて射撃を開始する。

しかもどこで習ったのか、マズルジャンプを考慮し、一定数以上の射撃を控えてやがる。

少なくとも、俺の背後の素人ゲリラ共よりもマシな射撃の腕に、俺はただただ唖然とする。

 情けない事に、俺はガキの援護のお陰で出来た隙にトラックの荷台へと飛び乗る。

俺が荷台に入ると、ガキは威嚇の為とも思える射撃をゲリラ共に撃ち込み、チラチラと横目で俺の体勢が整うのを確認する。

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