愛染堂市
立ちんぼ達の楽しげな雰囲気の異国の言葉が、強い香水の匂いと共に俺達のテーブルまで届いてくる。
俺はカップの底に僅かに残ったコーヒーを眺めながら、ムカつく男の言葉に耳を貸している。
『なぁ木村さんよ。俺はイマイチ話が読めねえんだが・・・警察内部で出来ねえ事を俺にどうしろって言うんだい?』
「・・・要はシリアルがバレなきゃ問題ねえんだよ。今はデータベースだかなんだかで、押収品はコンピューターに登録して、何かあったら調べるぐれえだ」
木村はコーヒーを飲み干しながら言い、テーブルの上の呼び出しボタンを押す。
間もなくして、先程のウエイトレスが相変わらず眠そうな顔でやって来る。
「ネエちゃん、コーヒーおかわり・・・ヤマモトお前は?」
『いや、俺はいい・・・』
ウエイトレスが眠そうな顔で頷いて、厨房の方へと消える。
『スミス&ウェッソンの馬鹿でかい銃だろ?・・・ヤクザもんでそんな銃使ってる奴も聞かねえし、そんな数も無いだろう?・・・型式でバレるもんなんじゃねえのか?』
「まぁバレるかも知れねえが・・シリアルさえ一致しなけりゃ、どうにか辻褄は合わせられるさ」
『そんなもんかよ?ポンスケ共のやることってのは?』
「ああ、そんなもんだよ」